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毎日頭の中が先生でいっぱいです
2025/04
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探求者


突起した肘の骨を噛んだ。腕をつたい指先に達して関節の骨を噛んだ。尺骨茎状突起(これに俗称がないのはおかしな話だ、あまり呼ぶ必要がない部位なのだろうか)を噛んだ。
キリコの顔へ視線を送るとわらっていた。だから、手首を噛んで、次いで唇を噛んだ。
口づけるのと噛むのとを無駄に続けているうちに鉄の味がひろがったのでふたりしてわらった。セックスはロマンティックな旅行なのか?それはたぶん幻想だ。ただしくはおそらく血と肉をともなう探求だ、と思う。
……鉄の味。あるいは血の味。たしかにおれはキリコを知っていると思う。そう思った。
体躯、骨の形、粘膜、血の味、体温、汗、たしかに、彼を知っている。未知のものであった彼の、身体の隅々までをいまやたしかに知っている。快楽の探求と追求のはてに、おそらくは彼よりも彼のことをよく知っている。本人は見ることのかなわない身体の内側までも、知っている。
そしてひとつ問題なのは、一度知ったそれを手放すのがひどく難しそうであるということ。けれどもまあ、いいだろう。

キリコがわらっている。
わらいながらおれの頬にある傷をなでている。
その指の味も、その先の爪の味も知っている。たぶん、それは幸福なことである。
そして、その身体とおなじように頭の中を知っているかと云えば、頭の中は身体ほどにはたやすくいかないもので、だからこそ、そちらは今後、探求のしがいがあるというものだ。



―― 初一人称。おそまつ。。。
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